ジチラボseason2 vol.4 地域福祉を考える〜コミュニティワークとコミュニティソーシャルワークを捉える〜を開催しました

Vol.4は「地域福祉」をテーマに開催しました。地域支援の現場では、高齢者の見守りや防災活動等、必ず「福祉」が話題にあがります。また明石では「生活支援コーディネーター」として福祉の専門職員が地域に出て支援をしており、私たちコミ創とは活動領域が重なりつつも手法や考え方に違いがあります。そこで、「地域づくり」とは切っても切れない「地域福祉」についてもっと考えてみたいと、それらの専門家である松端さんを迎えて議論しました。

▼今回の論点は下記の通り。

1.地域づくりと個別支援の関係性

 松端さんからの投げかけとして、もともと「地域福祉」は「地域づくり」と、孤立等の理由により支えの必要な個人を支援する「個別支援」の2つを含有しており、1960sに生まれた考えということでした。その後1980sにイギリスから「個と全体の一体的支援」という考えが輸入され、介護保険制度の見直しとともに急速に広まり、それと同時に「地域福祉」という言葉が、よく理解されないまま流行することになりました。現在、福祉の現場を混乱させているのは、「地域福祉」「地域づくり」のような言葉が曖昧なまま一人歩きし、個別支援に加え、手法も考え方も違う地域づくりまで担う形になっていることではないか、ということです。

2.地域は資源?

 上記のように「地域福祉」では、「個別支援」の観点で捉えるので、「地域」を「資源」として見なしてしまうということでした。例えば「高齢者の孤立」という課題の解決手段としては、見守り活動やサロンがあり、自治会やまちづくり協議会の「地域」は行政や事業所等と並んでその実施主体の一つということになります。しかし「地域づくり」の支援者の視点では、地域(組織)でそのような活動が実施されるようになるための「主体形成(エンパワメント)」こそが目標であり、地域を資源として捉えるのは違和感があるという話になりました。この違いについて改めて認識を合わせる一方、福祉の現場では「個(困っている人)の支援」と「地域(組織)の支援」はどう繋げればよいのか、という疑問が生じました。

3.コミュニティワークとコミュニティソーシャルワーク

 議論の中で徐々に明らかになったのは、「地域福祉」は「地域づくり」「個別支援」2軸からのアプローチがあっていいということです。支えの必要な個人を支援するための「個別支援」と、支え合いの活動をする住民の主体形成をする「地域づくり」では目的(ゴール)が異なることから、求められる能力、時間軸、関わり方などあらゆる点に違いがあり、互いが異なる領域と限界を持っています。「個別支援」をするためのコミュニティソーシャルワークと、「地域づくり」のためのコミュニティソーシャルワークを相互に理解した上で連携を強化していくことが「地域福祉」には不可欠ということが確認できた議論となりました。

この記事を書いた人

明石コミュニティ創造協会

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